短距離走も股関節や肩甲骨周りの可動域を広げることが重要ですが、最近は一昔(いや、二昔?)前と違って柔軟体操とかストレッチはフーフーいいながら無理にグイグイ伸ばすような指導は無いのではないかと思います。しかし、人の意識は両端に偏ってしまいがちで、特に体の硬い人は、ストレッチをすること自体が苦痛なので遠ざかってしまうか、頑張って力を入れて伸ばしてしまうかに傾いてしまうような気がします。…というか、私がそうでした。結局、考え方も含めて自分の習慣を適用するのが楽ですから。特に20代くらいまでは無理ができ、頑張ればある程度伸びてしまいますが、「膝を傷めてしまった」の記事のように知らず知らずのうちに靭帯を傷めてしまい、10~20年後に症状がでてしまうこともあります。
体の硬い原因
そもそも体が硬いことを気づかなかったり、気にかけていなかったり、だと始めるきっかけ自体がないのですが、少なくとも改善しようと思うなら、ある程度の客観的な原因を把握しておくとよいです。これは体が硬くなった一因である自分の習慣を見つめなおしてリセットするのが目的ですから「ある程度」というのが重要です。今は「Googleでインターネットを検索」という便利な調べ方がありますし、書籍もたくさん出ています。試しに「身体がかたい 原因」で検索すると
- 筋肉、骨、関節、靭帯などの関節周囲にある組織などさまざまな部位の要因が考えられるが、多くは筋肉によるもの。
- 骨同士をつなぐ筋肉の緊張のため
- 身体を動かさないため
- 関節が硬いため
- 横隔膜が原因
- 姿勢や筋肉の硬さ(言い換えれば柔らかさ)のバランスがとれていないため
- …
とキリがありません。どれも本当だと思いますが、体を柔らかくするために自分にはどれが該当するか悩みだしてしまうのも良くありません。結局、考えすぎることでかえって体が硬くなってしまいそうです。リストの一番目が包括的で「ある程度」っぽい気がします。さすがGoogleです。
効果を継続して感じるには
探し当てたネットの情報のやり方を試して、上手くいけば、それで良いですし、書籍は著者が職業として多くの改善の実績を背景に出版社の編集者が分かりやすくまとめているので大変有用です。しかし、実践しているうちに効果が実感できなくなってきたとか、図にあるようなポーズが出来ないとか、自分の不調の部分にマッチしたことが書かれていないということもあるかと思います。前者はマンネリ、後者は幅広い読者を対象としているため、どうしても最大公約数的な内容になってしまうからではないでしょうか。そんな時にどうしたらよいか? ひとつの処方箋を示してみたいと思います。
硬い部分の組織を想像してみる
まず、硬い原因である筋肉、骨、関節、靭帯などの関節周囲にある組織を想像してみます。これは、早く体を柔らかくしたいとか、頑張って伸ばせば柔らかくなるはずだとか、マンネリから離れる手段です。想像がやりにくかったらネット上の骨格筋のイラストを検索して探してみてもよいです。僕は自分の体の中身を想像すると何だかモゾモゾしたりします。人それぞれの感じ方の違いがあると思いますが、何らかの意識していることの気づきがあればよいです。
柔軟やストレッチのポーズをとるときは意識を軽く、呼吸をゆっくりと
そのうえで、ストレッチなり柔軟のポーズに近づけていきます。決して無理をしてお手本の写真などの通りにする必要はありません。そもそも写真のモデルは体が柔らかい人です。
ポーズに近づけていくときに、どこが張るのか、痛くなりそうなのか丁寧に感じてみてください。そこまで行く前に痛くなるかも…という意識が入ってくるかもしません。意識が邪魔をしてポーズがとりにくいのか、筋肉、骨、関節、靭帯などの組織が固まっているためか? あくまでも軽く、かすかに考えすぎないように意識します。また、ポーズができなくても自分なりに近いところまでで大丈夫です。少ない回数で痛いのを我慢しながら深めにするよりも、回数を多く軽くした方が柔らかくなるスイッチが入りやすいと思います。
呼吸はどうなっているか気にかけてみます。ゆっくりリラックスした呼吸ができていなかったら体が良い状態ではありません。この場合は一旦休憩します。
緩める部分を客観的に観察し、かすかな変化をつけて感じる
また、 筋肉、骨、関節、靭帯のどこが硬くなっているか静かに観察してみます。これらは細胞組織から成っていますが、どの部分がほぐれてそうか客観的に確認してみます。1mm、0.1mmでも良いです。組織の硬くなっている部分が気持ちよく動く感じはあるでしょうか。
イタ気持ち良いところで止めるのが良いとされていますが、大体で良いので、気持ちいいのが70%、痛いのを30%くらいまで伸ばして、次に気持ちいいのが60%、痛いのを40%にしてみましょう。どの部分に刺激がきましたか? また、伸ばす角度を意識だけでも良いので1~2°だけ角度ずらしてみたらどうでしょうか。
更に出来る体勢であれば、ゆっくりで良いので伸ばす部分がほぐれるように軽くゆすってみます。無理に伸ばすのが目的ではありません。伸ばす部位の周囲1cmくらい外側を意識するとどうでしょうか。また、伸ばしているところと全然違う場所に何か感じるかもしません。
柔軟やストレットをした後
ポーズを取った後、体の感じがどう変わったか内観してみます。爽快感があるかどうか、刺激を与えたところが少しジンジンして温かくなっているか。痛くなっていることもあるかもしれません。怪我のあとのリハビリは少し痛くても我慢が必要なこともありますが、あくまでも無理はしないように体と相談しながらです。
おわりに
日々、体の調子は変化しますから、微妙な感覚の違いがあると思いますので、それも繊細に感じてみるように頑張りすぎないように努めてみるのも良いと思います。また、少ない回数で痛いのを我慢して深めに伸ばすより、多い回数でいた気持ちいい程度に伸ばす方が効果がでるのではないでしょうか。
このように繊細に意識していくことで、色々なポーズを片っ端から試さなくても深みができます。分からないところが少しずつ分かっていくというか、脳の神経細胞が発達するようなイメージではないかと思います。お手本のポーズに少し変化をつけて自分に合った伸ばし方も発見できるかもしません。